「自分ってなんだろう?」
だれでも、“自分”について考えたことがあると思います。
さて、そもそも唯一無二の“本当の自分”というのは存在するのでしょうか?
この疑問に対する一つの見方として、小説家の平野啓一さんは、『分人主義』という概念を提唱しています。これまでは一般的に、分割することの出来ない一人の人間(個人)がいて、その中心には、たった一つの「本当の自分」が存在している…と考えられていました。それに対して『分人主義』では、対人関係ごと・環境ごとに分化した異なる人格があり、それら複数の人格すべてを「本当の自分」だと考えます。
「どうして私は仲の良い友達の前では自由奔放なキャラなのに、バイトの先輩にはペコペコしてしまうんだろう?」「私って多重人格なのかな…?」こんな風に考えたことがある人もいるのではないでしょうか。『分人主義』という観点で見ると、どれも“本当の”あなたです。むしろ、人や環境に合わせて、しなやかに自分を使い分けているとも言えるでしょう。
こうして考えると、「この場面での自分は嫌いだけれど、この人と一緒にいる時の自分は好きかもしれない」など、自分を肯定しやすくなるのではないでしょうか。
すべて100点満点の人なんて、存在しません。好きな自分、嫌な自分…。いろいろな要素で「自分」は構成されています。「本当の自分」を探して迷っている方、自分が好きになれず苦しんでいる方は、『分人主義』的思考で考えてみることをおすすめします。
(参考:「分人主義」公式サイト https://dividualism.k-hirano.com/)
キッズドア心理チーム